2010/11/18

自動売買への学術的なプロセス

自動売買への学術的なプロセスをまとめた俯瞰図(見渡すチャート)が『ファイナンスにおける人工知能応用研究会(SIG-FIN)』のサイトにありましたので紹介します。
出典: 鳥海不二夫, 特集「研究会総覧」ファイナンスにおける人工知能応用研究会 (SIG-FIN), 人工知能学会誌, Vol. 25, No. 4 (2010年7月), pp. 557-558 作成: 松井藤五郎

研究対象の中に自動売買があり、それを取り囲むように並んでいます。とりわけ、自動売買に一番近いのは『ファイナンス』ということでしょうか?
また、このサイトには、論文もいくつか掲載されています。 例えば、以下のような気になる論文も・・・ 【取引所の高速化について】から抜き取り 著者:水田 孝信(スパークス・アセット・マネジメント株式会社) ////////////////////////////////////////////////////////////////// 4 高頻度取引戦略 一般にアルゴリズムトレードという言葉は、機械 で執行戦略を行うことを指す。執行戦略とは、ある 銘柄を買うこと(売ること)は外部から与えられて おり、それをなるべく有利な価格で執行する注文を 行うことである。アルゴリズムトレードはVWAP(出 来高加重平均価格)どおりに売買するなどパッシブ な戦略も多い。一方、フラッシュトレードと呼ばれ る数ms~数s の売買間隔でリターンを稼ぐ戦略は、 まさに高頻度トレードだけでリターンを稼ごうとい うものである。フラッシュトレードは取引所が高速 化していないと実現しないものが多く、日本ではま さにこれからスタートしようとしている戦略であり、 人工知能の技術に期待される分野である。もちろん、 アルゴリズムトレードも取引所の高速化により高度 化し、それが必要になってきていることも間違いな い。リターンを取りにいく高頻度取引のうち、学術 界でも公表された手法として、Stat. Arb.(Statistical Arbitrage)というものがある。(Fernholz, 2007)これ は、時間の規格化を行うと、短い期間で測定したボ ラティリティの方が長い期間で測定したそれよりも 大きいことを利用したもので、この差をリターンと して抽出するものである。具体的にはロング側は1.5 分という短期間でウエイトを元に戻し、ショート側 は一日と長い期間でウエイトを元に戻す。ウエイト を元に戻すというのは株価が上がってウエイトが上 昇した銘柄を売り、株価が下がってウエイトが少な くなったものを買うという逆張り戦略の一種である。 つまり、短い期間であるほど逆張りが有効であると いうことを使った戦略であり、リターンの見積もり をする方法も開発されている。ウエイト調整の間隔 を短くすればするほど高い効果が期待されている。 この効果は日本の株式市場でも確認されており、米 国よりも高いリターンが得られることが知られてい る。(野村證券, 2008) /////////////////////////////////////////////////// ※上記内容は株式市場をとらえた内容だが、為替の世界でも有効な話なのでしょうか?EAの作成のヒントが隠されているかもしれませんね。
『ファイナンスにおける人工知能応用研究会(SIG-FIN)』のサイトを紹介しましたが、実は、KIKKAWAさんに教えて頂いたものです。心から感謝いたします。
【私見】 素人ながら、私も以前ニューラルネットワーク(以下NN法)もどきでEAを組んだことがありましたが、過去の市場にはフィットできてもフォワードテストで散々な結果になりました。私の私見として、『もし、教師信号が間違っていたら、間違った方向にEAを作り上げてしまう。』というものでした。例えば、この前あったような事(誤発注による暴落)をそのまま、教師信号として使用してしまったら?間違った学習をさせることにならないでしょうか?教師信号なしNN法やその他の人工知能を作成する技術があると思いますが、素人が、扱える手法ではないと感じました。