2009/07/26

Mizutori_EAの指標を検証してみました。


今回の内容は、私が違和感(自分で作っておきながら・・・)を感じていたMizutori_EAの指標について検証してみました。
対象になった指標は、以下のコードの指標です。
+―――――――――――――――――――――――――――――――+
stb = iMA(NULL,0,MaLimtPeriod,MaLimtShift,MODE_SMMA,PRICE_OPEN,0);
HiLimt = High[iHighest(NULL,0,MODE_CLOSE,LimtPeriod,0)];
LowLimt = Low[iLowest(NULL,0,MODE_CLOSE,LimtPeriod,0)];
st = (HiLimt-LowLimt)/(stb/100);
+――――――――――――――――――――――――――――――――+
※この指標を説明すると
ある一定期間(デフォルトなら、80バー期間(約6時間40分))の値幅(終値の高値―安値)を基準値(デフォルトなら、SMMA500)で割り、100倍したものです。
※では、なぜこの指標が必要だったか?(作成した当時の考え方です。)
①ある一定期間の値幅には、ある程度限界があるのではないか?(限界付近での逆張りは、リスク回避につながるのではないか?)
②値幅の限界は、価格に比例するのではないか?(100USDJPY より120USDJPYの方が値幅の限界が大きいはずだ!)
③導き出した値が小さすぎたので100倍して指標とした。
※限界とは,最大の意味ではなく、偏差的発想?ととらえてください。
【作成した当時妙にしっくりくる指標となりまともな検証もしないまま、使用してきました。】
しかし、違和感があったのも事実です。今回は、上記内容を検証してみます。
【検証内容】
手っ取り早く検証するために、今回は、ある一定期間を4時間(つまり4時間足)と設定し、その高値と安値の差を値幅(=高値―安値)として検証してみました。
また、0.01USDJPYピッチで出現頻度(ヒストグラム)を作成しその累計を百分率で表示させました。
下記の図は、2001年~現在までを年ごとにまとめたグラフです。

上記の図を説明すると、縦軸が出現頻度の累計百分率で、横軸が刻み(ピッチ)を表しています。
例えば、2001年では、【0~0.76】の範囲に約90%のデータがあることを意味しています。
また、標準偏差の2倍(95.45%)を値幅の上限(上記で言う限界)と見ると以下の値が導きだされます。
【2001】0.93 【2002】0.88 【2003】0.75 【2004】0.82 【2005】0.70 【2006】0.82 【2007】0.82 【2008】1.35 【2009】1.06(※データ数がほかのに比べて半分程度)
このことが、上記①の内容を意味しています。
しかし、漠然とですが、上記②の内容が否定されていることがわかるでしょうか?
わかりやすくするために、今度は、2001年~現在までのデータを安値を基軸に並べ替えてまとめた物を使用し、上記と同じようなグラフを作りました。
まとめた範囲は、【安値が90USDJPY以下】【90~100】【100~110】【110~112.5】【112.5~115】【115~117.5】【117.5~120】【120~122.5】【122.5~125】【125~】です。

上記図を見て頂くと一目瞭然です。上記指標の考えだと、価格が大きくなれば値幅も大きく(右にラインが移動する)なるはずでした。
しかし、実情は、価格の大きさと値幅は無関係にあることがわかります。
残念ですが、この指標は、不完全な物であるというほかありません。
そのまま使用される場合は、上記②の考えを排除した以下のコードに変更する方がベターだと思います。
+――――――――――――――――――――――――――――――――――――――+
//stb = iMA(NULL,0,MaLimtPeriod,MaLimtShift,MODE_SMMA,PRICE_OPEN,0);削除
HiLimt = High[iHighest(NULL,0,MODE_CLOSE,LimtPeriod,0)];
LowLimt = Low[iLowest(NULL,0,MODE_CLOSE,LimtPeriod,0)];
st = (HiLimt-LowLimt);
+――――――――――――――――――――――――――――――――――――――+
【まとめ】
偶然とは怖いものです。結果ばかり追いかける怖さを再確認しました。
また、上記の図を見て2008年の数値が突出していることが分かると思います。
これが崩壊の原因になったEAも少なくないはずです。
『100年に1度の・・・』との話をよく耳にしましたが、このデータを見ても納得できるところです。
さて、近況報告です。
ここ数カ月Mizutori から距離を置き、資料集めにぼっとしています。特に、データの【変換】方法の勉強です。
今注目している物が、ウェーブレット変換です。もちろん!EAの開発用ですよ!
では!